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③バイオマスのオペレーションと効率的運用のポイント

バイオマスボイラーの運営において重要な要素は前述の通り、以下の3点と考えています。

  1. 長時間安定的に燃焼できる燃焼炉

  2. 燃料調達

  3. オペレーターの熟練度

 

今回は第3回目として、バイオマスボイラーのオペレーターとして知っておきたい基礎知識について解説していきます。

「③バイオマスボイラーのオペレーションと効率的運用のポイント」

バイオマスボイラーはガスや重油などの化石燃料ボイラーと異なり、かなり独特な運転技術を必要とします。ボイラー技士免許など、必要な資格を持っていれば良いというわけではありません。

それぞれの設備構造や仕組みを理解し、実務経験者の解説を聞きながら「燃焼」という学問を体系的に学ぶことがバイオマスボイラーの安定稼働に向けた最短ルートとなります。

本記事では、バイオマスボイラーのオペレーションに関する基本事項と運用時のポイントを解説します。


 


1. バイオマスボイラーの仕組み

バイオマスボイラーは、燃焼室でバイオマス燃料を燃やし、その熱で水を蒸発させることで蒸気や熱水を供給します。これにより、暖房、産業プロセス、発電などのエネルギー供給が可能となります。

以下が主な4つの構成要素です。

  • 燃料供給システム(搬送):燃料の投入を自動化し、適切な量を安定的に供給する。

 

  • 燃焼室:燃料を燃焼させる部屋で、燃焼効率を高めるために温度や酸素量を適切に調整します。

 

  • 熱交換器(ボイラー):燃焼ガスから得た熱風を水や空気に伝え、蒸気に変換します。

 

  • 排ガス処理システム:ボイラーから排出される煙を適切に処理し、有害物質を最小限に抑え、排ガスを無害化して排出します。

 


(ThanQ製小型バイオマスボイラー 装置断面図)


2. 運用時の重要ポイント

バイオマスボイラーの効率的な運用として、以下の点に注意しています。

  •  燃料の品質管理
    • 燃料の水分含有量が高いと燃焼効率が低下し、不完全燃焼が発生しやすくなり、失火の可能性が高まります。数時間に1度、現在燃えている燃料の乾燥状態や不純物等を確認し、適切な品質が維持されているか。
    • 燃料の搬送系統に異常がないかどうか、カメラやセンサーを用いて管理。
    • 計器類だけを見て判断するのではなく、オペレーター自身で目視確認することがバイオマスにおいては重要。

 

  •   燃焼効率のモニタリング
    • 燃焼室の温度や酸素量を継続的に監視し、燃焼効率を最大化します。不完全燃焼が起きると、燃料の無駄だけでなくSOxやNOxといった有害ガスの排出が増加し、低温腐食によって煙突などの鉄に錆びが発生する原因を作ることになります。

 

  • 定期的なメンテナンス
    • 熱交換器(ボイラー部)やバグフィルターなどの排ガス処理システムにススや灰が溜まると、効率が著しく低下します。定期的な清掃と点検を実施して、機器が正規の能力を出せるよう稼働を維持することが重要です。
  1. 日常点検、月次点検、年次点検(性能検査)
  2. 蒸気圧、炉内温度、炉内圧力、空気圧等の異常検知。

 

  • 排ガスの管理
    • 環境規制に準拠するため、排ガス中の微粒子や有害物質(例:一酸化炭素、窒素酸化物)の濃度を管理します。必要に応じてバグフィルターや触媒装置を導入してください。

 

  • 自動化技術の活用
    • 近年のバイオマスボイラーは高度な自動化システムを搭載しており、燃料供給、燃焼制御、灰出し装置、排ガス管理が効率的に行えます。これらの技術を活用することで、人的負担を軽減できます。

 


万能型燃焼炉ボイラー 運転モニター

 


3. 効率的運用のための実地研修

  • トレーニングの実施(OJT)
    ボイラーオペレーターに対する定期的なトレーニングを行い、燃料管理やメンテナンス手順を習得させることが重要です。
  • 必要資格の取得(ボイラー技士、電気工事士など)

 

  • データ分析の活用
    稼働データを記録し燃焼効率や燃料使用量を分析することで、運用の最適化が可能になります。このデータはオペレーション面だけでなく、バイオマス燃料の選定においても大変重要な意味を持っており、燃料製造業者と情報共有を図ることでどのような燃料を目指すかという指標となります。

 

  • 安全対策
    高温部や燃料保管エリアでの事故防止策を講じ、作業員の安全を確保します。弊社では月に一度、安全教育を行っています。
  • 外部の安全講習会に参加することも重要です。ダイオキシン特別講習、粉じん作業特別教育など。
  • 定期的な健康診断(一般健康診断、じん肺検診)

 


ボイラー制御盤の日常点検

 


4. 環境とコストの両立

バイオマスボイラーは化石燃料に代わる持続可能なエネルギーソリューションですが、効率的に運用しなければそのメリットを最大限に生かすことはできません。適切なオペレーションは、燃料消費量を削減しつつ、環境負荷を低減します。

  • 燃焼灰の廃棄処理
  • 工場全体の省エネ(保温、稼働時間の見直しなど)
  • 補助金の活用

 

 

まとめ

バイオマスボイラーの稼働において、現場オペレーターの存在は不可欠です。

弊社では入社後から現場研修、座学を交互に繰り返しながら学ぶことで、実践的なバイオマスボイラーオペレーターとしてのノウハウを積み重ねながら安全稼働に努めています。

工務職の採用

https://www.pascal-energy.co.jp/recruit/engineering/

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