バイオマスボイラーの運営において重要な要素は前述の通り、以下の3点と考えています。
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長時間安定的に燃焼できる燃焼炉
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燃料調達
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オペレーターの熟練度
今回は第2回目として、燃料調達の重要性について解説していきます。
「②バイオマスの燃料調達」
燃料調達はバイオマスボイラー、バイオマス発電において、最も重要な要素と考えています。
いくら革新的な設備があっても、素晴らしいオペレーターに恵まれていても、燃料が無ければボイラーは稼働できません。
当たり前すぎて議論されることの少ない話題ではありますが、この重要性は実際に稼働してみないとなかなか伝わらない内容です。
これはただ燃料が集まるかどうかという点だけでなく、トラックでの運搬、燃料の保管、ヤードの面積や体積、燃料に紛れ込む異物の除去を含めた品質確保、火災の予防などそれぞれの観点を総じてクリアした状態を「燃料調達」と呼んでいます。
(木質チップ燃料)
【燃料として着目すべき観点】
①数量(日、週、月、年単位でどれだけ集められるか)
②成分(カロリー、組成、塩素濃度など)
③異物の割合(鉄や難燃成分が紛れ込んでいないか)
④含水率
⑤価格
ガスや重油など精製の中で単一化された燃料と違い、固形燃料は同じ1ロットの中でも、全く異なる燃料が入っています。もちろん燃料業者はサンプリング調査を行っていますが、あくまでも一部を切り取った参考値でしかありません。
まずは前提として、固形燃料はそのような側面があるという現実を知っておくことが重要です。
「良い燃料」というのはボイラーが安定稼働できる燃料品質を持ち、価格的にも安定した燃料を指すのではないかと考えています。
(ダンプでの運搬)
【燃料運搬に関して着目すべき観点】
①受け入れられるダンプのサイズ選定
②燃料ヤードの体積(投入できる数量)
③一日の消費量
④中間土場の有無
ここで見逃されやすいのは「中間土場」です。燃料調達を考える上で、運搬のために多数のダンプが行き来しますが、運営側の都合で燃料が荷卸しできないとなると結果的に運搬をキャンセルしなくてはならなくなり、多方面に迷惑をかけます。
燃料ヤードが大きければ全て解決しますが、大きくなればなるほど基礎コンクリートを必要とする面積が増え、費用も増加します。
(中間土場イメージ)
ここまでの総括として、ただ量が確保できればよいというわけでないことを説明してきました。
最終的な目的である「バイオマスボイラーで蒸気を作る」という観点の下、出荷元からバイオマスボイラーの現場運営に至る全体の流れを熟知して体系的に設計していくことで、ボイラーの安定稼働が達成されます。
マルエイパスカルエナジーでは、ただ商社的に燃料を販売するだけではなく、ボイラーの利用先であるオペレーターにとって魅力のある燃料の提供ができるよう心がけています。
これは実際に私たち自身が燃料を燃やし、バイオマスボイラーの運営を行っている我々だからこそできる大きな強みです。